香港日本人補習授業校継承科

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【継承科設立の経緯】

香港日本人補習授業校レベル1(L1)は、2011年11月より2クラス体制となります。従来型の『L1』クラスと、新しい『継承科』(場 所:epis Education Centre)です。どうして、このようなシステムをとろうと思い至ったか、それには2つの理由があります。ひとつは、多様なバックボーンを持つL1クラスのお子さんにとって、よりきめ細かい指導を実現していく必要性に迫られたからです。もうひとつは、多くのウェイティング状態の生徒さんたちに、ひとりでも多く日本語を学習する機会を設けたい、という切実な願いからです。

1、多様なバックボーンを持つ生徒に、よりきめ細かい指導を実現したい

これは、L1クラスに限ったことではありませんが、海外で暮らす日本人の子供たちは各々にいろいろなバックボーンを持ちながら、様々な学習環境に身 を置いて勉強をしています。親御さんの転勤によって日本や他国から移り住んできた子、香港で生まれ育った子、両親ともに日本人の家庭に育った子、両親のどちらかが日本人以外の家庭で育った子など、決して一括りにはできない、多様な家庭環境・言語環境・学習環境を持つ子供たちが一緒に机を並べるのが補習授業 校の実際です。当然、日本語学習に対してもそれぞれの課題を抱えています。特にL1の年齢においては、「日本語学習への興味を持たせるための方法が異なる」という問題に直面しました。すべての子供たちに、日本語学習への興味を持ってもらい、日本の文化や歴史も楽しく学んでもらうためには、現在のクラス編 成では自ずと限界があるということです。できるなら、クラスを細分化して、1クラスあたりの人数を減らし、各々に適した学習方法で学んでほしいという思いから、2クラス編成での実施に踏み切った次第です。決して能力別編成を目指したものではありません。

2、 より多くのお子さんに学習機会を提供したい!

L1クラスは、10月まで20名以上ウェイティングの生徒さんを抱えていました。学びたいけれども席がない、という状態はなるべく早期に解決し、可能な限り多くの生徒さんに学習機会を提供したい、と切実に願ってきました。継承科を設置することで新たに10名前後のお子さんに学習機会をご提供することが可能になりました。

 

 

【継承科の5つの柱】

1、日本語(国語)への興味を引き出す授業

様々な方法で、日本語力(国語力)の強化に特化して指導していくコースになります。日本語教育にとって、漢字や「てにをは」などの知識をつけていくこと、あるいは、文章を読んだり書いたりする力の養成なども重要ですが、このコースでは、まず子供たちに日本語に対する興味をもってもらうことが大切なの だと考えています。

 

2、 漢字の成り立ちから考えていく丁寧な取り組み

たとえば、漢字にしても単に書き取りなどを課して覚え込ませていくのでは、興味をもてない子供たちにとっては、苦役に過ぎません。象形文字としても漢字の成り立ちから始まって、その使い方までじっくり教えていくことが大切です。

 

3、 文章を味わう楽しさ、表現する喜びを知る

読解に関しても、子供たちが興味を持ちやすい材題を選び、時間をかけて味わうことを重視します。また、段階的に表現する力を身につけさせていきます。たとえば、「自由に書いていいよ」などという作文は、実は子供たちにとっては面白くありません。『あいうえお』作文など、制限がある中で始めた方が、より子供た ちの創造性を刺激していくことははっきりしています。

 

4、 知的好奇心を刺激する参加型知的作業を重視

実は、子供たちは理科や社会の勉強が大好きです。算数のパズル的要素のある取り組みにも非常に大きな興味を示してくれます。こうした興味をある内容を日本語で授業することによって、まずは飛躍的に語彙の量が増えることが期待できます。それをきっかけに、日本語に対する壁を軽々と乗り越えていってくれ るに違いありません。

 

5、 補習授業校の行事等への参加

学校行事・イベント授業等は、補習校国語科もレベル1~6も合同で行ない、補習授業校の児童としての一体感や連帯感を持ってほしいと考えています。また、日本の文化や季節の行事に積極的に触れていくことは、日本と日本語への興味を大いに伸ばしてくれるものと確信しています。

 

【継承科の授業イメージ】

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香港日本人補習授業校 運営委員 澤村重基(epis Education Centre 代表)